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イサギーレインサウスティ、スペインの伏兵がダウンヒルを制して勝利:ツール・ド・フランス2016第20ステージ

ツール・ド・フランス2016

いよいよアルプス最終日。シャンゼリゼを前に事実上の総合争いの最終日となります。

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超級1つ、1級2つ、2級1つというコースプロフィールですが注目は超級を登りきった後に12kmのダウンヒルでゴールという点。事実上の総合争いの最終ステージにダウンヒルゴールを用意するというのはいささか大会運営側も意地が悪い……というか、総合を争う選手、ステージ優勝を争う選手にとっては油断大敵な難コースです。

今日のステージまでに、ポイント賞のペーター・サガン、山岳賞のラファル・マイカはジャージ獲得を確定。(あとはシャンゼリゼでゴールしさえすれば良いという状況。)
総合も首位はクリス・フルームが盤石といって良いタイム差をつけています。(2位のロメン・バルデに4分11秒差)
一方で2位のロメン・バルデから7位のアレハンドロ・バルベルデのタイム差は2分9秒。新人賞争いも首位のアダム・イェーツと2位のルイ・メインチェスが2分16秒差と、総合2位以下の表彰台争い、新人賞争いはまだまだ予断を許さない僅差の争いとなっています。
今日も長めのダウンヒルを含む難コースでしかも天候も不安定と、昨日のステージの混戦再びとなると何が起こるか分からない状況です。

各賞が決まりましたから基本的に今日も逃げに参加するのは「あわよくばステージ優勝」を狙った、トーマス・デヘントやハリンソン・パンタノ、イルヌール・ザカリン、ジュリアン・アラフィリップ、ルイ・コスタ、ピエール・ローランといった「いつもの顔ぶれ」。
そこに何とヴィンチェンツォ・ニーバリやペーター・サガンといったビッグネームも参加し、総合12位のロマン・クロイツィゲルの姿も見えます。クロイツィゲルは総合のジャンプアップ狙い、サガンはそのアシスト、ニーバリは自身のステージ優勝というオプションもあるでしょうが、基本的にはファビオ・アルのアシストとして「前待ち」を狙った動きでしょう。

実際、サガンはしばらく集団の先頭でペースを牽引し、一時はメイン集団に6分の差をつけ、クロイツィゲルは暫定で2位に上がるまでのタイム差を獲得します。これだけ登れる選手がポイント賞ジャージをまとっているのですから、サガンという選手の異次元の能力をまたしても感じさせる走りでした。

サガンが2つ目の1級の途中でアシストの役目を終えると、先頭集団では徐々に細かなアタックが繰り返されます。デヘントやローラン、コスタが抜け出しを試みるものの決定的な差をつけることは出来ず、集団に吸収されます。
最終的に集団からの離脱に成功したのはハリンソン・パンタノとジュリアン・アラフィリップの2人。今日2つ目の1級山岳コル・ド・ラ・ラマの山頂を越えると今日も雨で濡れた下りでパンタノとアラフィリップが次々にアタック。圧倒的なダウンヒルのスピードで先頭集団からの抜け出しに成功します。
第15ステージで惜しくも落車でステージ勝利を飾れなかったアラフィリップと、そのステージで見事に初のグランツール勝利を獲得したパンタノの因縁の逃げ。2人とも一歩も譲らず(しかも協調して後方集団から逃げるようなこともなく)ガチンコの先頭争いを繰り広げていきます。

そんな中、メイン集団でファビオ・アルが遅れたことによって「前待ちアシスト」としての役割から解放されたヴィンチェンツォ・ニーバリが猛烈な勢いで先頭の2人を追い始めます。(そしてさらに実はヨン・イサギーレインサウスティもニーバリに続いて追走集団から抜け出し先頭グループを追います。……ただし、このインサウスティの動きがちゃんと放映されてないので抜け出たタイミングがよく分からない……)

さすがグランツール全てを制覇した男、ヴィンチェンツォ・ニーバリの追い上げは鋭く、最後の超級コル・ド・ジュー・プラーヌの中盤で先行するパンタノ、アラフィリップを捉えます。そして並んだところでさらにニーバリのアタックが続きます。これにアラフィリップは対応できず、あっという間にニーバリ、パンタノから遅れてしまいます。
そして、遅れたアラフィリップをパスしてさらには先頭のニーバリ、パンタノを超級山頂を前に捉えたインサウスティ。最後のダウンヒルにはこの3人が揃って突入していきます。

今大会これまでに驚異的なダウンヒルを見せているパンタノ。数々のグランツールダウンヒル巧者ぶりを見せつけてきたニーバリ。彼らに対して、インサウスティにはダウンヒルについては「特別な強さ」はないはずでした。
ダウンヒル序盤のコーナーでオーバーランしたパンタノがやや遅れ、インサウスティとニーバリが先行する展開。しかし、徐々にニーバリが遅れていきます。
前日のダウンヒルクリス・フルームに巻き込まれる形で落車したニーバリ。形はどうあれ前日の落車のイメージはやはり今日のダウンヒルにも影響を与えているようでした。ニーバリは遅れていたパンタノにもパスされ、3位に後退。
追い上げるパンタノですが、こちらもなかなか差が詰まりません。
思い返せば、第13ステージの個人TTで8位、第18ステージの山岳個人TTでも7位と好調ぶりを見せていたインサウスティ。ここまでキンタナのアシストに徹してきたが故に目立った活躍がなかったものの、総合優勝から大きく後退したキンタナのアシストから解放され、勝負に出た今日のステージではいかんなく実力を発揮した格好です。
何よりダウンヒルであそこまで勝負に出ることができた「勇気」と「覚悟」がダウンヒル巧者であるニーバリ、パンタノをも寄せ付けないパフォーマンスにつながったのだと思います。
結果、パンタノが挽回することはなく、ヨン・イサギーレインサウスティがそのまま逃げ切ってステージ勝利
今大会、スペイン勢のステージ勝利もここまでなかったわけですが、ここにきてようやくの勝利ということになります。

メイン集団の総合上位の争いは、、というと、ここ数日メイン集団を牽引していたアスタナがファビオ・アルの脱落によって離脱。モビスターも前に立つことはなく、結果、スカイによる完全な管理のもとにクリス・フルームは全く危なげない戦い。
前日の落車もあって、チーム一丸となってのコントロールだったのでしょうが、あそこまで完璧に集団をコントロールするスカイのチーム力をあらためてまざまざと見せつけられたステージでした。
2位以下の争いは、ファビオ・アルが6位から13位へ大きく順位を落としたこと、逆にホアキン・ロドリゲスがザカリンの強力なアシストでタイムを稼ぎ、11位から7位に順位を上げた2点が大きな動きで、表彰台やヤングライダー賞に関わるようなエキサイティングな動きは残念ながらない「落ち着いた1日」となりました。(これもスカイのコントロールと、それに対するアスタナやモビスターの動きが今日はなかった点によるものが大きいかと思います。)

アルプス最終日は総合上位の争いが低調だった分、逃げ集団による熾烈なステージ優勝争い。しかも、ヴィンチェンツォ・ニーバリが絡んだステージ優勝争いというのは見応えがありました。
最終的な総合含めたジャージ争いの結果は、というと、

と完全に有力選手が順当に勝ち取ったように見えますが、しかし各ステージともに、本当に見応えのある、しかも波乱も含んだ実に楽しい3週間でした。
明日はシャンゼリゼ
最後のスプリント争いも気になりますが、選手の晴れ晴れしいパレードランを見るのが楽しみですね。

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