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ザカリン初勝利!!:ツール・ド・フランス2016第17ステージ

ツール・ド・フランス2016

2度目の休息日を終え、いよいよアルプス4連戦に突入です。総合優勝争い、山岳賞争いもこの4日で決します。1日たりとも見逃せません。


アルプス4連戦の初日は、3級2つ1級1つを超えての超級ファンオー・エモッソンの山頂ゴール。今年のツールはここまでも山岳続きの厳しいステージが連続していたので、超級山頂ゴールといえど案外凄みを感じないのは私だけでしょうか。

昨日の休息日ですが、ここまでステージ4勝を上げていたマーク・カヴェンディッシュやBMCのTTスペシャリスト、ローハン・デニスがリオ五輪の準備を理由にツールを去りました。
カヴェンディッシュが出場するトラック競技が8/11から、ローハン・デニスが出場する個人TTが8/10ですから、もう3週間後なんですね……
ロード男子が8/7ですからツールの最終日からわずか2週間後。ツールに出場中の有力選手も多数オリンピックに出場するわけですが、ツールを終えて2週間で調整するのですからこれはもう大変ですよね。
日本人ではもちろん新城幸也選手がロード男子に出場予定です。新城選手もこのまま順調に行けば6度目のツール完走を果たして、リオに向けた調整に入るはずです。
今年の大腿骨骨折からの復帰もそうでしたが、驚異的な回復力を発揮してリオでも活躍してくれることを期待します。

さて、今日のレース展開ですが序盤でまず11人の逃げ集団が形成されます。
マイヨ・ヴェールサガン、マイヨ・ア・ポアのマイカ(いずれもティンコフ)、第15ステージの勝者パンタノ、第15ステージは惜しかったザカリン(直近のステージで好調ぶりを見せたメンツですね)、そしてトニー・ギャロパン、ブリース・フェイユーといったフランス人が逃げ集団には含まれます。
追走集団には、アラフィリップやヴォクレールもおり、ここに来てフランス勢の奮闘が目立つように感じられます。

ツール開催国フランスですが、今大会ではここまでフランス人選手のステージ勝利がありません。
このままステージ勝利無しで終わると実に「95年ぶり」とのことで、ここに来てその話題が現地でも増えてきているそうです。
最新のUCI国別ポイントランキングではフランスはスペイン、コロンビアに次ぐ3位と実は好調なわけですが、今ツールでは残念ながら勝利には至っていない。残り5ステージですから俄然フランス人選手のプライドをかけたアタックが随所で見られるかもしれません。
今日もそうですが、ここに来て連日逃げに参加しているアラフィリップ(第15ステージはメカトラに泣いたわけですが)には是非とも結果を出して欲しいし、ロメン・バルデやピエール・ローランといったフランス人クライマーにはアルプスでの奮起に期待したいです。

逃げ集団は淡々と3級山岳2つと中間スプリントポイントを通過していきます。
カヴェンディッシュが去った今、マイヨ・ヴェールサガンが圧倒的ですし、山岳賞もマイカに抜けてきた感があります。
エースであるコンタドールがリタイアした後でも、しっかりチームとしてのプレゼンスを発揮して結果を出すティンコフの力には脱帽です。
一昨日のサガンのステージ勝利の際はオーナーのオレグ・ティンコフさんの歓喜に踊る姿が中継されていましたが、あんなに楽しそうにしてるオーナーがいて、ここまで素晴らしい成果を上げているチームや選手がいて、それでも来季はチーム解散してしまうというのが本当に信じられない気持ちです。ツールのチームプレゼンテーションでも一番楽しそうな雰囲気を感じたのはティンコフだったので余計に残念です。

途中、1級山岳でトニー・ギャロパンとアレクセイ・ルツェンコがアタックしますが、こちらは実らずに1級山岳はマイカが先頭で通過します。そして超級ファンオー・エモッソンの上りへ……
1級山岳のダウンヒルで抜け出したラファル・マイカとハリンソン・パンタノ、そこに超級の登りでイルヌール・ザカリンが追いつきます。

matsunart.hateblo.jp

イカとパンタノの並走……そしてそこにザカリンが絡む
まるで第15ステージの再現というかリベンジ的な展開になってきました。
但し、第15ステージと違うのは今日は山頂ゴールということ。

登りに関してはパンタノが若干劣るのかなぁ、、という印象でしたが、なんと先に遅れだしたのは山岳賞ジャージのマイカ
ザカリンのアタックに全く反応できずにあっという間に遅れてしまいます。(まぁマイカとすれば今日も1級3級と山岳ポイントは順調に積み増しできたので良し…とすることもできるのかもしれませんが、またしてもステージ優勝のチャンスをものに出来ず…)

ザカリンとパンタノ、となるとやはり登坂力はザカリンが優位。
何度かアタックを仕掛けたかと思えば、途中からは一定出力でグイグイ踏み出し、力勝負に打ってでます。
自力の違いを見せつけられた格好で、徐々に差を広げられるパンタノですが、それでも必死にダンシングをしながら食い下がろうとします。(さすが男気のパンタノ!)

とはいえ自力に勝るザカリンが最終的にこのステージをものにして、ツール初勝利!!
ポストフルームのオールラウンダーと評されるザカリンですが、これで昨年のジロに続いてグランツールでは2賞目となります。
先月のジロでの大落車からの復活!
26歳のまだ若いオールラウンダーですから、これからの活躍に益々期待です。

一方の総合争いはというと、今日もまたアスタナが積極的にメイン集団をコントロールし、スカイに一矢報いようという展開。
問題はこれにモビスターがこれまで共闘できていない点ですが、今日も超級に達した地点でメイン集団にはバルベルデとキンタナの2人だけ、という厳しい展開。
今日のスタート前に「モビスターは必ず攻撃する!」とウンスエ監督は豪語していたようですが、、どうもバルベルデ以外のアシストのパフォーマンスが本来のものではなさそうですし、肝心なエースのキンタナも精彩を欠く印象。
今日は辛うじてバルベルデが何度かスカイ勢に対してアタックを仕掛け、アシストを何人か削ることに成功したのが精一杯という感じで、キンタナ自身の攻撃は見られませんでした。

メイン集団からは最終的にリッチー・ポートが抜け出し、それに反応したクリス・フルームが追従するという展開。
今年からスカイを離れBMCへ移籍したリッチー・ポートですが、チームを分かれても尚フルームを牽引する姿は感慨深いものがありました。
ポート、フルームを追うアダム・イェーツ、バルベルデ、ファビオ・アルの追い上げも届かず、ポート、フルームが先着。
キンタナに至ってはイェーツらのグループからもさらに遅れをとり、フルームからは28秒をさらに失う結果となりました。
アルプスでのキンタナの巻き返しが期待されたわけですが、結局はフルームの安定感だけが鮮明になった今日の総合争いでした。

明日はいよいよ山岳での個人TT
TT巧者のフルームがさらにタイムを稼ぐのか、モレマ、イェーツ、キンタナの巻き返しがあるのか。
そしてフランス勢のステージ優勝は残り4ステージで果たせるのか。
各ジャージの行くえはだいぶ見えてきたようにも思えますが、それでもまだまだ見所は盛り沢山のツール。明日も楽しみです!!

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