コンタドールがリタイアしても、ツールは続きます。今日は第10ステージ。
コンタドールのリタイアから休息日を挟んでの第10ステージ。
スタートから24kmで標高2408mの1級山岳ポール・ダンヴァリラの山頂をむかえ、そこからは標高差2000mを一気に下る、という特徴的コース。
(ちなみに標高2408mは今大会の最標高。)
ただしダウンヒルを終えてもまだ100km近い下り基調の平坦コースが待っているので、基本的にはスプリンター向けのステージです。
J-SPORTSの放送が始まった段階では既に1級山岳はとっくに超え、ダウンヒルも終盤といったところ。
驚異的なペーター・サガンのダウンヒルを見られなかったのは残念。
この下りで逃げを決めたのは超豪華なメンバー。
サガン、ニーバリ、ルイ・コスタ、ボアッソンハーゲン、ヴァンアーヴェルマート、シャヴァネル、マイケル・マシューズ、ミケル・ランダ、トニー・ギャロパン、スティーブ・カミングスなどなど
今大会は豪華な逃げグループが多いですね。
豪華な逃げグループとはいえ、残り100km近くあるし正直最後はメイン集団に吸収されるんだろうな……と思って見ていたのですが、これが意外に差が詰まらない。
逃げグループにサガン、ボアッソンハーゲンを送り込むことに成功した、ティンコフ、ディメンションデータは敢えてメイン集団を引くことはありませんし、キッテルは序盤の山岳で遅れてしまったのかエティック・クイックステップも引かず。
結果的にメイン集団を長々と引くことになったのはブライアン・コカールにスプリント勝負させたい、ディレクトエナジーのトマ・ヴォクレール。
舌を出し、ベロベロしながら体を揺らして走る姿はトマ・ヴォクレール独特のもの。
ヴォクレールといえば、いつも集団の最後方を「定位置とばかりにゆっくり走るのがお案じみですが今大会ではブライアン・コカールのために集団を牽引する姿が目立ちます。
とはいえヴォクレールが孤軍奮闘しても逃げる豪華グループとの差はつまりません。
トップグループが残り30km近くになっても4分差が縮まらない!
(これは逃げ切り決まりっぽい)となると、メイン集団も追うのを諦めてしまいました。今大会、逃げ成功の確率が例年になく高いのは何故なんでしょうね…… まぁ観る側からすると逃げが成功するのは面白いので歓迎なわけですが。
そうなると俄然、今日のステージはサガン勝利か…… という気配が漂ってくるわけですが、それでも逃げグループにはサガンの他に、ボアッソンハーゲン、マイケル・マシューズ、といったスプリント強者もいるし、ヴァンアーヴェルマートが独走力を活かしてロングスパートする可能性もあるし、まだまだどうなるか分からない。
しかもマイケル・マシューズのオリカ・バイクエクスチェンジには、ルーク・ダーブリッジとダリル・インピーという強力アシストが2人も残っているし。(ここに来てオリカは勝負してきた感じですね)
逃げグループはマイケル・マシューズのためにルーク・ダーブリッジが献身的に牽引を続けて最後の3級山岳の上りへ。
やはりここでは "上れるスプリンター" サガンがアタックをかけますが、ことごとくダリル・インピーがチェックして、逆にアタックをし返す展開。。もう完全にサガンの足を削りにかかっているインピーなわけですが、それにことごとく反応するサガン。
ダーブリッジの引きからのインピーの猛烈なサガン攻撃……
正直ここまでアシスト陣が完璧な働きをしたらエースとしては勝たないわけにはいかないですよね。
個人的にはオリカ対サガンの争いを完全に静観する様子でグループの最後尾に張り付いていたヴァンアーヴェルマートがどこでアタックをかけるのか……と思って観ていましたが、特に変化は見せずにレースはサガン、マシューズ、ボアッソンハーゲン、ヴァンアーヴェルマートの4人によるゴールスプリントになだれ込みます。
そして、やはりインピーの攻撃でだいぶ足を使わされたサガンは最後の最後で伸びず、マイケル・マシューズがサガンをかわして勝利!!
いやぁ、サイクルロードレースは「チームスポーツ」なんだなぁ、とあらためて印象付けられたオリカの3人の動きは本当に素晴らしかったです。
突出したエースのいないオリカやランプレといった中堅チームが、今日のステージのように「チーム力」で勝っていくのを見るのもロードレースの醍醐味ですね。
オリカといえば、マイヨ・ブランのアダム・イェーツの活躍も光りますし、今日の勝利でチームとしても勢いを増していくでしょうから、これから残りのツールを盛り上げてくれるかもしれません。