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ディレクターのクリエイティビティ……媒介としての意識

※この記事ははてなディレクターアドベントカレンダー2016の12月9日の記事です。
昨日は id:yanbe による「大学院で身についたスキルのうち、はてなでの仕事で役に立ったもの」でした。

はてなブログ」や「はてなブログMedia」を担当していますプロデューサーの id:matsu_nao です。
今年40歳になった私ですが、インターネットに関わる仕事に就いてからはもう15年以上になります。
このエントリでは私のこれまでのキャリアを振り返りつつ、ディレクターという役割やバリューについて私なりに考えてみたいと思います。

これまでのキャリアを振り返って

そもそも私がこの業界に身を置いた最初は、映画情報のメルマガ+webメディアの企画兼広告営業という肩書で、コンテンツの運用から、タイアップ企画、配給会社や映像ソフトメーカーへの企画提案、コンテンツ素材の管理、など、サイト運営と営業に関わるほぼ全ての仕事を他数人のメンバーと担当していました。
時代的には2000年頃のことで、1999年にNTTドコモiモードを開始した直後くらいの時期で、上記のメディアもiモード向けに立ち上げられたものでした。
その後、iモードなどのキャリア公式サイトを運営する所謂コンテンツプロバイダに転職し、着メロ着うた、占い、情報サイト、ゲームと様々なジャンルのサイトの立ち上げや運用に携わりました。
この頃の私の肩書は「コンテンツディレクター」や「ゲームディレクター」といったもので、主な役割を挙げると

といったところになります。
簡単に言うと社外のステークホルダーへの提案や交渉が主な役割でした。
特に上記で挙げた企画やマーケティングにおいても、携帯キャリアに如何に取り挙げられるか、という点が最も重要で、そうした面も含め社外に向いた活動が役割の多くを占めていたと思います。

その後、大手SNS事業者に転職し、ここではディレクターとしてSNSの機能開発に携わることになります。
ここでの主な役割を挙げると

  • 調査/分析
  • 企画
  • 仕様の取りまとめ
  • 開発進行
  • 関係部署との調整

といったところでしょうか。
数千万人のユーザーに利用されるサービスを運用し、500人の社員を抱える企業でしたから、サービス内のユーザーに向けたマインドで思考するのが基本で、社外というよりも社内に向けた活動や調整に意識を向けることが多かったように思います。

媒介としての意識

コンテンツディレクターとして初期のキャリアを積んだ私ですが、その頃、常に考えていたのは、どんな「ヒト」や「モノ」を携帯のコンテンツにしたらハマるのかということで、そうした組み合わせやアレンジをひたすら考える日々を繰り返していました。
発想力、企画力というと、自分の内からアイデアが生まれでてくるような思考を思いがちですが、私の場合は常に「外」に対して着想を得る、「外の物事」から思考を展開するということをしていましたから、必然「媒介としての自分」という立場を意識して活動していたのだと思います。
その後、SNSの開発に携わる中でも「媒介」という意識はやはりあって、その対象が「ユーザーの行動」や「コミュニティの話題」といった自社のサービス内で起こっている物事に置き換わったり、或いは、組織の中における人やチームの「媒介」という面への関心が高まっていったのだと思います。

ディレクターのクリエイティビティ

プログラムを書くエンジニアでもなく、プロダクトに形を与えるデザイナーでもないプランナーやディレクターは、ともすると「非生産的」なロールとして見られがちです。
特に、はてなには企画力のあるエンジニアも多いですし、プロダクトに対して強固なビジョンを持ったデザイナーも多く、彼らの豊かな発想によって質の高いアウトプットが為されていると思います。
そんな中でプランナーやディレクターがどのようにしてバリューを発揮していくのか。それなりに長いプランナー/ディレクター経験を経た私も、はてなに入社してから自問自答することがありました。
そんな中で思ってきたのは、やはり「媒介」としての意識で、「ヒト・モノ・コト」をどうつないでいくか、ということでした。

優秀なエンジニアやデザイナーが作り出すプロダクトも、ユーザーのニーズに合致しなければスケールさせることはできないでしょうし、ビジネスと結びついて収益化できなければ維持していくこともままなりません。
優秀なメンバーも各々で行動していたら最適なパフォーマンスを発揮することはできないかもしれません。

そうした状況を取り持つところがディレクターの役割だと思います。そこで発揮されるスキルは一般的に「調整力」や「連携力」と表現され、そうした立場には「サーバントリーダー」といった言葉があてられます。
私は「調整」「連携」といったロールは「サーバント=奉仕」という言葉から想起される「裏方」イメージとはまた違ったもっとクリエイティブなロールであると思いますし、ディレクターのバリューが発揮されるのは、まさにそうした「媒介」を旨とするシーンにこそあるのだと個人的には思っています。

はてなブログ」の話

はてなブログ」は2011年11月にリリースされ、先日5周年を迎えました。
新サービス「はてなブログ」ベータ版を招待制でリリースしました - はてなブログ開発ブログ
はてなブログは5周年! これからも、思いや言葉を書き残す最高のプラットフォームを目指します - 週刊はてなブログ

「シンプルで、誰でも使えるブログサービス」を目指して開発を進めてきた「はてなブログ」ですが、5周年を経て、その在り方も変化していく途上にあると考えています。
膨大な数の記事が公開され、様々なブロガーさんが活躍するプラットフォームへ拡大してきた「はてなブログ」。
また、企業の利用にも適ったプラットフォームとしての「はてなブログMedia」を両立させる中で、新たな「ヒト・モノ・コト」の出会いが起き、促進される過程にあると感じています。
はてなブログ」や「はてなブログMedia」の開発の現場においても、エンジニア、デザイナー以外に、コンテンツやコミュニティの運営に携わる編集職やビジネス面を担当する営業職との関わりもより密になっています。
そうした様々な「ヒト・モノ・コト」が絡み合う状況の中にあって、ディレクターの「媒介」としてのパフォーマンスが非常に重要になっているとも感じています。

  • コンテンツと技術
  • 編集者とエンジニア
  • ユーザーと企業

様々な掛け合わせ、コラボレーションによって、どんな新しい価値を生み出せるのか、ディレクターとしてプロデューサーとして、プレッシャーを感じながらも大いに楽しみな6年目の「はてなブログ」です。

余談

ディレクターについて書いていながら、これはプロデューサーの視点や価値観が反映されているな……と自分で読み返して思いました。現在プロデューサーという立場にあるから、ということもあると思いますが、ディレクターにおいてもプロデューサー視点は必要だという思いがこのようなエントリを書かせたのかもしれません。

はてなディレクターアドベントカレンダーの明日の担当は、 id:jusei のなんと『奥様』の担当です。