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ついにキッテル勝利!:ツール・ド・フランス2016第4ステージ

ツール・ド・フランス2016

ツール・ド・フランス2016は第4ステージを迎えます。
237.5kmの今大会最長ステージはじわじわとした上り基調の平坦ステージ。細かいアップダウンが続くコースはいかにも逃げが決まりそうな雰囲気。
近年のツールではなかなか逃げが決まることは少ないですが、今回はどうでしょう……


昨日までのブルゴーニュから一気にいつものツールらしい緑の夏の平原といった感じの景色になり、ツール感も高まってきました第4ステージ。
今日も例によってボーラ・アルゴン、イアム、トレックといった逃げの常連勢にAG2Rを加えた4チームが逃げる展開。コースプロフィール的には逃げが決まりそうな雰囲気もあるものの、そこまでタイム差は広がらず……やはり今日もゴールスプリントで勝利が決まりそうな展開。

昨日逃げて敢闘賞を勝ち取ったトマ・ヴォクレールが今日はなんと途中、メイン集団を引きます。
普段は集団の最後尾が定位置のヴォクレールが集団を引く……なかなか珍しい光景です。37歳となりキャリアの最終版を迎えるベテランが気を吐く姿、いいですね。
37歳となると、ひょっとしてヴォクレールあたりが今大会最年長なのかな?と思ってざっとベテラン勢の年齢を調べてみると、なるほど最年長は42歳!マッテオ・トザットですね。42歳いまだ健在「横風番長」……今回もしっかりとコンタドールの脇を固めています。
ちなみにトザットの次はざっと見たところパオロ・ティラロンゴの38歳。ティラロンゴも今年のジロではニーバリのマリア・ローザに大きく貢献しましたし、まだまだ衰えは感じさせないですね。
今年40歳を迎える私としては同年代の選手が活躍しているのは嬉しいかぎりです。

さて、今日も残り4kmあたりからテクニカルなコースが続き、人数が絞れた状態でのスプリントになりました。
残り2kmで万全のトレインを組んだロット・ソウダルも、最後までトレインを保てず今日も混戦のスプリントに雪崩れ込む形に。
最後はマルセル・キッテルとブライアン・コカールの際どい争い。
途中のヴォクレールの牽引もあったので、個人的にはコカールどうか!と思ったものの、キワキワのスプリントを制したのはマルセル・キッテルでした。(とうとうキッテルが来ましたね)
3位にペーター・サガンが滑り込んだので再びサガンマイヨ・ヴェール奪還。やはりマイヨ・ヴェール争いでサガンは抜きん出ていますね、凄い安定感です。

ここまで、カヴェンディッシュサガン、キッテル、と有力スプリンターが勝利を分けてきました。唯一まだ勝利に届いていないアンドレ・グライペルがこれからどんな奮起をみせるか楽しみです。

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まさに格闘技!といった感じの熾烈なゴールスプリント

今日もまた僅差の争いに

カヴェンディッシュ2勝目!:ツール・ド・フランス2016第3ステージ

ツール・ド・フランス2016

ツール・ド・フランス2016も3日目、今日はいわゆる「ド平坦」ステージです。
昨日マイヨ・ヴェールマイヨ・ジョーヌを獲得したサガンマイヨ・ヴェールを守るか。
ここまで若干精彩を欠くキッテルが本領を発揮するのか、あたりが見どころです。


序盤に4級山岳があるものの、その後はほぼ平坦。223.5kmを大集団は淡々とゴールを目指します。(いや昨日、一昨日に比べると今日は平和ですね……)

今日はトマ・ヴォクレールとアルミンド・フォンセカのフランス勢が逃げを決めました。
トマ・ヴォクレールというと個人的には2011年のツールでマイヨジョーヌを10日間粘りに粘って守りぬいた走りが強く印象に残っています。
よく「マイヨ・ジョーヌを着ると常ならぬパワーが発揮される」といったことが言われますが、まさに2011年のヴォクレールはそんな感じでした。
最近だと今年のジロ・デ・イタリアのクライシュバイクも「マリア・ローザパワー」を発揮した例かもしれませんね。

今日そのマイヨ・ジョーヌを着ていたのは、ペーター・サガン
初のマイヨ・ジョーヌ獲得でしたが、本人はどうもマイヨ・ジョーヌよりも世界チャンピオンジャージである「マイヨ・アルカンシエル」のほうが気に入っている……といった発言をしていたようですが、なかなかどうして今日のレース前のインタビューでは結構嬉しそうにしてましたし、マイヨ・ジョーヌも似合っていたかと思います。
サガンというと、マイヨ・ブランマイヨ・ヴェールはもう見飽きるくらいに目に馴染んでいますが、いずれマイヨ・ジョーヌ姿も見慣れたものとなるのでしょうか。(個人的にはマイヨ・ジョーヌを着たサガンをまだまだ見ていきたいです。)

さて、今日のレースですが、予想通りの際どいゴールスプリント
グライペルを最後の最後でかわしたカヴェンディッシュが第1ステージにつづいての2勝目となりました。
この最後の最後の際を制した勝負勘はさすがカヴェンディッシュですね。

それにしても今回もいい形でトレインを組んでスプリントに望んだエティック・クイックステップでしたが、やはり勝てなかったマルセル・キッテル……
事前の評判ではスプリンター勢で頭一つ抜けているのでは……と言われていながら、ここまでの成果は今ひとつ。
おかげで際どいスプリント争いが続いているので面白いわけですが、キッテルの復調はあるのでしょうか。

ともあれ個人的にはカヴェンディッシュの2勝目は嬉しいかぎり。
今日の勝利でツール通算28勝。あのベルナール・イノーと並んで歴代2位タイですね。
エディ・メルクスの34勝に並ぶ日もいつか来るのかもしれません。

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際どいゴールの瞬間

迫力のあるピュアスプリントでした

この日、歴代2位の勝利数に並ばれたベルナール・イノーマーク・カヴェンディッシュ

サガン久々のツール勝利!迫力の上りスプリントは圧巻:ツール・ド・フランス2016第2ステージ

ツール・ド・フランス2016

ツール・ド・フランス2日目。昨日のコンタドール新城幸也の落車の影響が気になりますが……ひとまず2人とも無事に今日もスタートしていて良かった……


平坦ステージにカテゴライズされてますが、4級3つ、ラストは最大勾配14%の3級山岳が控える、なかなか難しいステージです。
登り基調のゴールスプリントということで今日はペーター・サガンの久々のツール勝利なるか!?といったところが見どころ。

昨日、山岳ジャージを獲得したポール・ボスが今日も逃げに加わって奮闘。ボーラ・アルゴンは来年のワールドツアー入りを目指しているとのことで、今回のツールでも士気は高そうですね。
イアムやティンコフが今年でチーム消滅してしまう中で、勢いのあるチームがあるのはいいことですね。

そして、落車ってやっぱり後を引くというか、連鎖するというか、今日もコンタドールは不運に見舞われてしまいました。今日も結果的にフルームやキンタナといった総合有力勢に対してタイムを失う結果に……厳しい。

近年、グランツールの中でも特に逃げがなかなか決まらないツール・ド・フランスですが、今日の展開は面白かったですね。もう一息というところまで逃げに逃げたジャスパー・ストゥイヴェンは素晴らしかったです。

そして、サガン、アラフィリップ、さらにはキンタナやフルームといった総合勢までもが絡んでのラスト1kmの展開は熱かったですね!
最後の最後にアラフィリップをかわして「なんと初めてのマイヨジョーヌ」を勝ち取ったペーター・サガン、、凄かった。
そしてサガンを最後まで牽引したクロイツィゲルのアシストも良かったですね。

いやー、サガンマイヨジョーヌ、、凄い(そして、今日から"予定通り"マイヨヴェールも獲得ですね)
これまでも十分に活躍してきたペーター・サガンですが、世界チャンピオンとして挑む今年のツールでの活躍はこれまで以上に期待です!!

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復活のカヴェンディッシュ…スプリンター勢揃いの2016年ツール・ド・フランスが始まりました!!

ツール・ド・フランス2016
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今年も夏が始まりました!ツールの7月がやってきました!
今年はモンサンミシェルからスタート……これからの3週間が楽しみですね。


モンサンミシェルからの188km平坦ステージ。海沿いのコースなので強い横風がレースにどんな影響をもたらすか……
といった状況でしたが……

まず、残念ながら大きめの落車が何度か起きてしまいましたね……
それぞれ別の落車ですが、コンタドール新城幸也が落車に巻き込まれてしまったのは心配です。
近年特に風の強いステージでは熾烈な位置取り争いから落車が引き起こされてしまう状況がよく見られますが、今年のツールでも落車が残念ながら多く起きてしまうのかもしれません。
昨年のトニー・マルティンや、ファビアン・カンチェラーラマイヨジョーヌを着ながらも、落車によってツールを去ってしまった辛いシーンが思い起こされます。今年はそんな辛いシーンは見たくないですね。

復活のマーク・カヴェンディッシュ

マルセル・キッテルアンドレ・グライペルペーター・サガン、そしてマーク・カヴェンディッシュら、現在トップのスプリンターが顔を揃えた今回のツール。
ジロ・デ・イタリアの圧倒的な勝ち方を見ていても、キッテルが頭抜けてるかなぁ……と思っていましたが、いやいや、そんなことはなかったですね

結果的には

と、上位陣は予想通りの顔ぶれですが、なんとその中で勝ったのは……カヴェンディッシュでしたね!
かつての連勝を重ねていた記憶が強い私にはカヴェンディッシュの久々のツール勝利は本当に嬉しい!!
今年ディメンションデータに移籍して、マーク・レンショーやベルンハルト・アイゼルら、かつてのHTC時代のアシスト勢と再びチームを組んでカヴェンディッシュ復活!これは個人的にもロードレースファン皆にとっても嬉しい状況ですね。
ペーター・サガンもしっかり3位に食い込んでいますし、こちらも久々のツール勝利を期待したいです。

総合争いは意外にも波乱

落車の影響、風の影響もあって、初日から意外にも総合勢の間でもタイム差がついてしまいましたね。
特に酷い落車に見舞われたアルベルト・コンタドールの明日以降の状況が気になります。
昨年のジロでも肩を脱臼しながらも最終的には総合優勝を果たしましたし、怪我には強いイメージのあるコンタドールですが、他でもないツールですから熾烈な3週間をどう戦えるのか、気になります。

ともあれ、始まったツール・ド・フランス2016
今年はスプリントも盛り上がりそうですし、もちろん総合争いも気になりますし、3週間目が離せません!!

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↓HTC時代のカヴェンディッシュは凄かった!2008年4勝、2009年6勝、2010年5勝、2011年5勝、と信じられないくらいのステージ勝利を量産していたかつての強さが今年は見られるか、非常に楽しみです!!
Mark Cavendish is the Best Sprinter of 2010

台北のカフェ巡り!レベルの高いカフェが多くてさすが茶藝の国、台湾

今回で3度目の台湾・台北旅行となるのですが、今回は「カフェ巡りをしよう!」と決めていました。
前回の台北旅行でもカフェは目立ちましたし、まぁ「茶藝文化」の国なので、カフェもレベル高いのだろうな…とは想像していましたが、実際に調べてみると魅力的なカフェが本当に多い!
結局3日間の滞在で合計6軒のカフェに立ち寄りました。(3日目は時間もあったのでなんと4軒も巡り……これはさすがに妻にも呆れられ……)

FikaFikaCafe

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2013年にバリスタ世界チャンピオンになった方がオーナーを務めるお店ということでしたが、天井が高くて開放感のある、とても居心地の良いお店でした。
今回いずれのカフェも平日の昼間ということでわりと空いていたのですが、このFikaFikaCafeだけはとても混んでいました。
このカフェで隣に座ったのが現地の年配のご夫妻だったのですが、台湾のカフェって若者はもちろん多いですが、わりと年配の方も来られてるんですね。さすがお茶文化の国…といったところでしょうか。

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好丘

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101のすぐ側にある「四四南村」という昔の住居を保存したエリアの中にある雑貨店&カフェです。
こちらに来たのはalisanproject.com - このウェブサイトは販売用です! - 台湾 Taiwan 日本 japan 阿里山 Alisan リソースおよび情報をこの好丘が扱っているということでカフェというよりもコーヒーを書いにいったついでにカフェにも立ち寄ったという感じです。
この好丘、コーヒーというよりもベーグルが有名なようですね。
ほんとはカフェでベーグルをいただきたかったのですが、売っているベーグルの多くはテイクアウトonlyということで、こちらではカフェラテだけをいただき、購入したベーグルは日本に帰ってからいただきました。(パイナップルのベーグルも美味しかったです)

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好丘で購入した阿里山コーヒーと阿里山コーヒーのキャラメルはこちら
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www.fashionsnap.com

All Day Roasting Company

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今回台北で巡ったカフェの中で個人的に一番だったのがこのAll Day Roasting Companyでした。
taiwan55.com

コーヒーの抽出に「Steampunk」という特別なマシーンを使っていたりと、とりわけこだわりの多いお店のようなのですが……
いや、実際に美味しかった!!
ここでは、その日のオススメだったケニア産のコーヒーと、ヘイゼルナッツフレーバーのカフェラテを頼んだのですが、ケニアはとにかくスッキリとしたドリップで、紅茶のような軽い飲み口が非常に印象的でしたし、カフェラテも異常に飲みやすい軽さと絶妙な甘さ、ヘイゼルナッツフレーバーとか、どうしても甘すぎになってしまう印象がありますが、実に飲みやすいカフェラテでした。
サニーヒルズの近くということもあって、おそらくこれから台北に行ったら必ず再訪するカフェになりそうです。

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Café Junkies

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點水樓でランチを済ませた後に、すぐ近くということで立ち寄ったCafé Junkies。
空いてたのが、子供用?という感じの低いテーブルとイスの席で、まぁ仕方ないかぁ……ということで少し違和感を感じながらも小さいイスにこじんまりと座ってコーヒーをいただきました。(あ、実際に子供用というわけではなかったようですよw)
で、ここで頼んだのが、「橘子汽水咖啡」……なんとこれ、エスプレッソをファンタオレンジで割った飲み物なんです!!
旅々台北【早朝からコーヒーを Café Junkies】
こちらの記事でオススメされてたので、せっかくだし……と思って頼んでみました。
正直個人の感覚によるかな、とは思いましたが私はOKでした。
コーヒーの苦さにオレンジの酸味や苦味が融け合っていて、これはこれでアリだな(台北の暑さという要因もあったと思います)と思いました。
思いのほか居心地もよかったですし、カジュアルな感じのカフェで立地もよい、案外また再訪したくなるお店かもしれません。

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Fujin Tree 353 CAFE

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前日一緒だった台北の知人に「カフェ回ろうと思ってるんだ」と言ったところ「富錦街に行くの?」と聞かれたくらい、今や台北のオシャレカフェエリアとしても知られた富錦街を代表するカフェです。
平日の昼間だったので、比較的空いていて、ゆっくりとキャラメルマキアートを飲みながらくつろげました。
他のカフェだと、わりと大きな声で会話している人が多かったりしたのですが、このFujin Tree 353 CAFEは静かで落ち着いたお店でした。(思わず長居してしまいそうな居心地の良さ……)
コーヒーの美味しさはAll Day Roasting Companyに譲るものの、居心地の良さ、という点では今回巡ったカフェの中では一番だったと思います。
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ちなみに富錦街を歩いていると、この Fujin Tree CAFE ブランドのかき氷屋さんもありました。

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BEANS & BEATS

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富錦街を一通り歩いて、最後に立ち寄ったのがこのBEANS & BEATS
お店の奥にスタジオがあったり、地下はレコードショップになっていたり、音楽押しのカフェで、ここではエスプレッソ+レモネードをいただきました。
Café Junkiesのオレンジファンタコーヒーもそうなんですが、やはり暑い国なのでこのような独特なコーヒーのアレンジが生まれるのですね。
実際、どのカフェも日本に比べると普通のドリップコーヒーよりもカフェラテやカプチーノを押しているのもアイスで楽しめる……といった観点があるのかもしれません。

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ちょっとした想像力と思いやり……という話

日曜の夜、妻と友人2人と4人で神泉で飲みながら、なんとなくこの特別お題「心温まるマナーの話」のことを話し合いました。
友人や妻から聞いたエピソードと、その夜の帰りの京王線で見かけた光景を書いておこうと思います。

カナブンと男子高校生の話

友人から聞いたエピソードです。
友人はいつものように電車で職場へと向かおうとしていました。
ホームから電車に乗り込み、しばらくたった頃、なにやら車内がざわつき始めました。
見ると一匹のカナブンが乗客の頭上を旋回しています。
カナブンですから特に害を及ぼすようなことはないものの、やはり皆、気になってカナブンが寄り付かないように手で払ったりしています。
まぁ少なくとも飛び回るカナブンを捕まえようとする人は普通いないですよね……
ところが、そんな中、長身の男子高校生がヒョッと手を差し伸ばして……なんとカナブンを一掴み!(すごい動体視力と反射神経!)
電車が次の駅に到着し、ドアがあくと同時にカナブンを車外へと離したのだそうです。
カナブンを捕まえたスキルはともかく、ほとんど誰もが積極的にはカナブンをどうにかしようと思わない中、意を決して手を伸ばした高校生の行動はすごいですね。
(私は捕まえることはもちろん出来ないだろうし、捕まえよう…という発想も持てないだろうと思います。)

泥酔女性と若者の話

これは日曜の夜、京王線で自宅に帰る途中で見かけた光景です。
渋谷から井の頭線に乗り、明大前で乗り換えた私と妻は運良く比較的空いている車両に当たり、2人ともに着席することができました。
(私も妻もけっこう酔っていたので、着席できて「助かった!」という感じでした。)
日曜の夜(23時半くらいの電車だったと思います)なので、酔いつぶれてうなだれている人もちらほら…という感じでした。
私の斜め向かいに座っていた若い女性もガックリとうなだれ、電車の揺れに身を任せていました。(まぁよくある光景ですね。)
その女性のひざ上には少し大きめのバッグが置かれ、揺れる女性の膝から今にも落ちそう、という状態でした。
そして、桜上水を過ぎたあたりだったでしょうか、、とうとうバッグは女性の膝上からガタッと床に逆さまに転落してしまいました。中の荷物も幾つか床に散らばっています。
「落ちる前に何とかしてあげようよ〜」という話かもしれませんが、私は酔った妻に寄りかかられた状態で身動きとれず、、おそらく周りの方からも「落ちそう」という様子は見えたと思いますが、そこはおとなしい日本人ですね……見てみぬフリをしていたという感じでしょうか。
とはいえ落ちてしまったものはしょうがない……落ちたバッグを見つめながら「誰か早くなんとかして〜」と心の中で叫ぶ私(声には出しません、出せません……)
誰も手を出さないまま数秒の沈黙……
「ああ、この状態でもやはり見てみぬフリかぁ……」と、しばし落胆する私
が、数秒の沈黙の後、女性の右隣り、空席を挟んでもう一つ隣に座っていた若い男性がスッと立ち上がり、ササッと散乱した荷物をバッグに戻し、女性の右隣りの空席に何事もなかったかのようにそっと置きます。(これもまた数秒の出来事)
「おお、やるじゃん、若者〜」とほっこりしながら千歳烏山で下車して帰宅の途についたのでした。

神谷町の初老女性とその娘さんの話

これは妻と友人がそれぞれみかけた同じ初老の女性とその娘さんの話です。
妻も友人もその初老女性をみかけたのは神谷町の駅だったとのこと。
どんな女性かというと、人よりも少し小柄な以外は特にこれといった特徴はない普通の初老の女性。
ところが、この女性の背中には、その女性の娘と思しき20〜30代と思われる女性が背負われているのだそうです。
初老の女性はとくに小柄なこともあって、背負われている娘さんのほうが明らかに体格は大きい。
一見して分かるのは、その娘さんはどうやら重度の障害を負っているということ。おそらくは話すことも、まともにコミュニケーションすることもままならず、自らの足で立つこも叶わない……
それどころか、娘さんには明確な意識があるのかさえも分からない……そんな様子。
そんな初老の女性が娘を背負い、両手に大きな荷物を抱えて駅の階段を登ろうとしている様子を私の友人はみかけたのだそうです。
見るに見かねて友人は女性に手を差し伸べました「荷物お持ちしましょうか?」
無言の女性、そして差し出された手をやや強めに払い、そのまま階段を登り続けます。
友人の厚意は無残に拒絶されてしまったわけです……

電車やバスで席を譲ろうとして断られた……という話を聞きますが(私も断られたことあります)
それと同じで「人の厚意を素直に受け取れないって良くないなぁ……」と素朴に友人の話を聞いて感じた私でした。
ですが、この話、私の妻に言わせると「女性が厚意を断る事情も慮るべきだ」というのです。
これはあくまで妻の想像ですが、障害を持つ娘を抱えて10年20年と過ごしてきた女性はきっと様々な悪意にさらされてきたのだろう……と
隣人の厚意を素直に受け取ることが出来ないくらいには、きっと彼女は辛い現実の中で生きてきたのだろう……と

もちろん真実は分かりません。
それでも私は妻のその想像に共感しましたし、その女性の「拒絶」の理由を推し量ってあげたい、そんな想像を巡らせていたい、そう思いました。
思いやりは必ずしも素直に通じるものではないかもしれません。
それでも、私は人の事情に想像を巡らせられる人間でありたいと思いますし、それが私にとっての心の平安にも繋がるのだろうと思います。

思いやりは人に向けられるものですが、同時に自分自身にも向けられた柔らかな感情なのだと感じます。
そんな柔らかな心を持って日々を過ごしていきたい、そう思った日曜の夜でした。


特別お題「心温まるマナーの話」by JR西日本
http://blog.hatena.ne.jp/-/campaign/jrwest

シェリーが好き

先日のエントリでもシェリーを堪能している様子に触れましたが(映画「バベットの晩餐会」の料理とワインについて - art × social × blog)「好きなお酒は?」と問われれば迷わずシェリーを挙げる私です。
で、「シェリーが好き」という言うと「シェリーって何?ワインとは違うの?」などと聞かれ、その度にシェリーの説明をすることが多いわけです。
ということで、あらためてこのブログでもシェリーのことを書いてみたいと思います。

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産地

シェリーがスペインのお酒ということは特にスペインバルも随分増えましたし、よく知られているところかと思います。
シェリーはスペインの中でも「ヘレス(正式にはヘレス・デ・ラ・フロンテーラ)」という街と、その周辺地域で醸造される酒精強化ワインのことをいいます。このヘレスには実に60社以上のワイナリーがあり、ラベル数は1,000種類近くあるそうです。

原料

シェリーは白ワインと同じく白ブドウを原料とし、中でも下記の3品種がシェリー原産地呼称統制委員会に認められた品種だそうです。(この記事を書くために調べて初めて知った事実!)
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出典:シェリーのブドウ

製法

シェリーはマデラやポートワインと同じく醸造過程でアルコール(酒精)を添加することでアルコール度数を高めたワイン=酒精強化ワインの一種です。シェリーの場合はワインを蒸留したアルコールを添加して醸造しています。
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またシェリーは「ソレラ・システム」といわれる独特の熟成手法がとられます。下図のように醸造年の新しいワインを古いワインに順に継ぎ足していく手法で、長い年月をかけて熟成したワインの特徴をじっくりと若いワインが身につけて均質に熟成がなされる効果があるようです。
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出典:シングルモルト / モルトウイスキー | clubtower.jp

下図は熟成中の樽の中の様子で“フロール”と呼ばれる酵母の膜が出来ているのが見えます。
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引用:シェリーの分類

種類

このように複雑な製法で作られるシュリーですので、品種の違いや工程の違いによって実に多種多様な味わいの広がりをもっています。
下図のように色の濃淡に実に幅がありますし、辛口から極甘口まで味わいも様々です。
基本的には熟成の過程でより強く酸化させると色味が濃くなり味わいも深く重いものになります。
品種という点でいうと、モスカテルなどは特に甘く「レモンティー」のような風味を楽しむことができますし、ペドロ・ヒメネスは干しブドウから醸造することで極めて濃厚な甘さと芳醇さを堪能できます。
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出典:基本のタイプ

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実に様々な色合いですが、これら全てが白ブドウから作られたシェリーなのです。

オススメのお店

2010年頃の過剰なスペインバルブームは去りましたが、東京では実に多くのお店でシェリーを楽しめるようになりました。
中でも私がとくにオススメするのが下記の2店です。
バル・デ・オジャリアは私がまさにシェリーに出会い、ハマったきっかけのお店で日比谷店には実に100種を超えるシェリーが常備されています。
そのバル・デ・オジャリアから独立された中瀬航也さんが五反田で開かれたのがシェリー・ミュージアムで、こちらは中瀬さんの趣味が全開!といった感じの素敵なお店です。

東京



私がたびたび仕事で訪れる京都にも多くのスペインバルがあります。
しぇりークラブは東京にもありますが、日本を代表する老舗スペインバルです。在籍されているベネンシアドールの人数も日本一だとか……
そして、最近お気に入りなのがBar・奥で、こちらはスペインバルではありませんが、多彩なウイスキーの揃えとシェリーが特徴のお店です。(雰囲気も落ち着いていてじつに居心地の良いお店です)

京都



シェリーの師匠

バル・デ・オジャリアの元マスターで、今は五反田シェリー・ミュージアムのオーナーである中瀬航也さんは「師匠」というと語弊がありますが、私にシェリーの楽しさ、奥深さを教えてくれた方です。日本を代表するベネンシアドールで、日々、日本におけるシェリーの普及に奮闘されています。なかなか五反田のお店にも行けていないのが残念です……
profile.ameba.jp
www.drinkplanet.jp
www.youtube.com

と、シェリーについてざっと紹介してみましたが、実はそんな蘊蓄はどうでもいい話で……
とにかくまだシェリーを楽しんだことの無い方は是非一度試してみて欲しい!!
ただただ、それに尽きます!!

シェリー酒―知られざるスペイン・ワイン (PHPエル新書)

シェリー酒―知られざるスペイン・ワイン (PHPエル新書)

ステラ・マッカートニー@表参道:陰影のファサードデザイン

職場が表参道の片隅にあることもあって、表参道界隈の多彩な建築をいつも日常的に目にしています。
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中でも個人的に一番好きなのがタイトルにも挙げた、ステラ・マッカートニーの旗艦店の建物です。

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印象的なのは幾何学的なパーツの組み合わせから成るファサードのデザイン。
特に夜のライトアップされた中に複雑な陰影をまとった姿の存在感は圧巻です。

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このファサードのデザインですが日本人の建築家、照井信三さんの手によるものだそうで照井さんご本人は下記のように紹介されています。

いくつか、日本の伝統柄を見ていくうちに組み亀甲という柄に目を留めました。おっ、これは立体化すれば面白いんじゃないか?これを何らかの形で立体化してファサードにまとわせれば、現代的で洗練されたデザインになるなと思いました。
(中略)
ここで一番重要なのは、日本の伝統柄をデザインの源泉にしているのでどこか私たち日本人のDNAにすりこまれた日本を暗喩しているということです。一見、デザインされたものだけに見えますが、日本の伝統のエッセンスが込められているのです。

出典:http://homepage1.nifty.com/shinzoterui/pages/stellamccartney.html


組み亀甲という伝統柄とそれが織りなす陰影が日本的な情緒を感じさせ、しかしウェットさを感じさせない洗練されたデザインは本当に秀逸ですね。
夜間、正面のスクリーンに映し出される映像も印象的で、本当に完成度の高い建築だと思います。

youtu.be

そんなステラ・マッカートニー表参道ですが、どうもこの照井信三さんと施工した竹中工務店の間で著作権を巡る訴訟が進行しているようです。
先日放送された弁護士の水野祐さんを紹介した「情熱大陸」でこの件が取り挙げられていました。名前は伏せられていたものの、特徴的なデザインからすぐにそれと分かりました。

個人的にとても好きな建築のデザインでこのような訴訟が起きていることは非常に残念です……
とにかく一日も早い解決を願うばかりです。

ジロ・デ・イタリア2016開幕 …… そして2017年ジロが日本開催?!

今年もグランツールの季節到来!ジロ・デ・イタリアが5月6日から開幕しました。
今年のジロ・デ・イタリアはオランダで開幕し、stage1〜3がオランダで実施となっています。
2006年セラン(ベルギー)、2010年アムステルダム(オランダ)、2012年ヘルニング(デンマーク)、2014年ベルファスト北アイルランド)ときて今年2016年はアペルドールン(オランダ)と、近年のジロ・デ・イタリアはイタリア国外での開幕が増えています。
ヨーロッパではロードレース人気は圧倒的ですし引き合いも多いのでしょうけど、ことイタリアのことなので金銭面での思惑も多分にあるのだろうと想像します……

そんな中、実に驚くべきことですが、なんと2017年のジロ・デ・イタリアが日本で開幕?という噂があったんですね
www.cyclowired.jp

ヴェーニ氏は「何より(日本は)距離が遠すぎる。時差を調整するためにどれだけの休息日が必要か考えて欲しい。2016年のオランダ開幕を実現するために休息日を追加するだけで苦労したのに。実際にアメリカや中東など世界中からプロポーザルを受けているが、いずれも実現には時間を要する。

まぁ、そりゃそうですよね……
オランダ開幕の今回でさえ、移動のために通常よりも1日余分に休息日を設けて対応しているわけですから、日本からイタリアへの移動ともなるとさすがに実現は難しいですよね。
実際に日程調整が出来たとしても、さすがにレース中に3日も間が空いてしまうのは興ざめですし……

なお、スクープ記事によると招致予算は3,500万ユーロ(約46億2,000万円)。出場チームにはそれぞれ50万ユーロ(約6,600万円)が支払われるとされる。

でも46億円で招致が叶うのだとしたら、金額だけでいうと現実味がないわけではないですよね。
無理とは思いつつも、「もしジロが日本に来たら……」と考えると、これは全くもって革命的なことです。

さて、そんなジロ・デ・イタリアはオランダでの開幕3ステージが終了しました。

ステージ1はトム・デュムラン、ステージ2・3はマルセル・キッテルがそれぞれ勝利し、ここまでは完全なる大本命が順当に勝利を手にしました。
J・C・ペローの落車リタイアという悲劇はあったものの、ここまでは特に波乱もなく進んでいます。

総合争いではニーバリ vs ランダ、が2強と目されていますが、残り18ステージでいったいどんな展開が待っているのでしょうか。実に楽しみです。
個人的にはエステバン・チャベスあたりが上手くハマって2強に食い込んでくると面白いことになりそうだな……とか、実はジロ初参戦のバルベルデがどんな走りを見せるのか……とか、やはりティンコフ贔屓なので、ラファル・マイカは気になる……とか、
案外2強以外のところに興味があったりもします。

と、まぁ、まだまだ始まったばかりのジロ・デ・イタリア、これからのイタリアでの残り18ステージが本当に楽しみでなりません。

www.jsports.co.jp

Giro d'Italia, Stage 13www.flickr.com

映画「バベットの晩餐会」の料理とワインについて

バベットの晩餐会とガーデンシネマ

昨年3月に4年ぶりに復活した恵比寿ガーデンシネマ
私にはなぜか縁のなかった映画館で、2011年の休館以前にも一度も行ったことがなかったですし、昨年3月の復活時もちょうど恵比寿から引っ越した直後ということで足が向くことはありませんでした。
そして今回、初めて行ったのです、恵比寿ガーデンシネマ

鑑賞したのは1987年制作のデンマーク映画バベットの晩餐会」。
mermaidfilms.co.jp

日本では1989年にシネセゾンの配給で公開されていて、今回はデジタルリマスター版の上映になります。
89年というと私はまだ13歳ですから中学1年生ですね……さすがに栃木の田舎でデンマーク映画に触れる機会などないですから、今回が初鑑賞になります。

作中の料理とワイン

映画の内容については諸氏のブログに任せるとして……
バベットの晩餐会に関するブログ記事まとめ

個人的には作中の料理やワインが気になるところ
ちなみに、作中の晩餐会のメニューについてはこちらの記事が詳しいです。
www.foodwatch.jp

「ウミガメのコンソメスープ」に始まり、メインは「ウズラとフォアグラのパイ詰め石棺風 黒トリュフのソース」とこちらも豪華なのですが、
それにも増してのワイン!
食前のアモンティリャードから、ヴーヴ・クリコ、クロ・ヴージョと続き、食後はフィーヌ・シャンパーニュ
1800年代後半のユトランド半島の辺境の村まで、よくぞ運んだ食材の数々とワイン。

どうやらこの晩餐で、主人公バベットは宝くじで当たった「1万フラン」の全てをこの晩餐に充ててしまったようですが、この「1万フラン」とはいかほどの価値なのか、、気になります……

作中の料理の価値

1800年にフランス革命政府が発行した40フラン金貨は12.9gだったそうな、それを元にすると現在金の価格は1g=2,700円程度ですから単純に計算、換算すると900万近くになりますね。

大好きな映画「バベットの晩餐会」(87年デンマーク映画)を観てふと思ったのです... - Yahoo!知恵袋
調べた方がいるんですね
この方によると900万円相当、と評価されてますが(この記事が2007年当時の金相場を元に試算されてるので)素直にそれを現在の金相場に当てはめると……なんと1500万円!
さすがにこの計算はおかしいということで別の記事をあたります

その金額1万フラン! 現在ならば20万フランだそうなので450万円ぐらいなのでしょうか。

おいしい映画 その3 バベットの晩餐会

特に明示されてないですが、おそらく現在のフランスの宝くじの当選金額を20万フランとして円換算してるようですね。
なるほど450万円……12人分の晩餐ということで、一人あたり38万円くらい

本作でバベット夫人がかつて料理長を努めていたと言う「カフェ・アングレ」ですが、現在の「ラ・トゥール・ダルジャン」の前身のお店だったようです
とーるブロ:ラ・トゥール・ダルジャン - livedoor Blog(ブログ)

東京にもホテルニューオータニ内に店舗がありますが、
Tour d'Argent Tokyo | トゥールダルジャン 東京 オフィシャルサイト
こちらはコースで32,000円なので、仮にヴーヴ・クリコ、クロ・ヴージョをそれぞれ頼んでも10万円にも届きそうにないですね。当時の「カフェ・アングレ」の料金はさすがに分からないですが一人あたり38万円というのはさすがに言い過ぎかと思うので、「カフェ・アングレの12人分のお代が1万フラン」はバベット夫人の方便だったのかもしれません。

ともかく、優しい映画で観終えた後の心地良さのある作品でした。
見終わった後はとにかく美味しいワインと美味しい料理が食べたくなる、そんな作品でもあります。
下の写真は「バベットの晩餐会」後に行きつけのスペインバルで飲んだアモンティリャードの様子です。

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